みなさん堀越正行さんをご存じでしょうか?
テレビ朝日5月16日よる11:15~「激レアさんを連れてきた。」で紹介されるようです。
なぜ堀越正行さんが激レアなのか?
それはタイトルでもありますように、20年間暴走族のパシリを続けたという異色の経歴の持ち主。
そして、打越正行さんは大学教員。
なぜ、そんなことをしたのか?
その理由がとても興味深いものですので、皆さんにお伝えしたいと思いました。
20年間暴走族のパシリをしている中では困難もあったようで、その中のエピソードなども紹介したいと思いますのでご覧ください。
打越正行とはどんな人物・プロフィール&経歴
画像: RYUKYU JOURNAL
プロフィール
名前 | 堀越正行 |
生年月日 | 1979年生まれ |
出身地 | 広島県 |
最終学歴 | 首都大学東京 人文科学研究科 現:東京都立大学 |
経歴
打越正行さんの高校までの学歴は公表されていなかったので、広島県内の学校だったのではと推測します。
打越正行さんはもともと数学の先生になりたかったようで、琉球大学へ進学。
その大学の駐輪場で運命のターニングポイントが訪れます。
それは、大学の駐輪場で酒盛りする少年たちが、友人に高校を辞めないように説得している姿を見たそうです。
打越正行さんは、学校は行くのが当たり前で、楽しいところだと思い込んでいたそう。
でも、彼らの話を聞き、
「学校は一部の人のために作られた場所で、自分は無知だった」
と感じたようです。
そして、
「あの子たちの話をちゃんと聞きたい」
という感情が沸き起こり数学の道から社会学の道へ変更されたようです。
大学院は広島の大学で社会学を専攻。
修士課程では広島の暴走族の調査研究。
博士課程では沖縄の暴走族について調査。
「沖縄の暴走族の調査をしたら絶対重要な研究になる」
と直感したそうです。
その直感から20年間の暴走族のパシリとしての参与観察が始まったわけです。
・参与観察とは
調査者が被調査者集団の内部で長期にわたって生活し,その実態を多角的に観察する方法。
そして、2016年に首都大にて博士号(博士:社会学)を取得。
現在は、
- 特定非営利活動法人 社会理論・動態研究所研究員
- 沖縄国際大学 南島文化研究所・研究支援助手ならびに琉球大学 非常勤講師
- 和光大学現代人間学部専任講師
として活躍されています。
【若気のいたり】
大学の非常勤を始めた頃、教室に適当に座ってる学生に「今日の授業がおもろかったら、次は今日より前の席に座って、そうじゃなかったら今日より後ろにどうぞ」と伝えた。数回講義を重ねたら、みんな後ろに座ってったんで、私は教室の真ん中に立って講義した。ww
— 打越正行 (@uchikoshi_m) May 11, 2022
なかなか楽しい先生ですね。
20年間暴走族のパシリをした理由&エピソード

暴走族のパシリをした理由
打越正行さんが暴走族のパシリをした理由は次の通り。
彼らが暴走行為を行うのは何か日本の社会に理由があるはずで、その根本を知りたいと思ったからだそうです。
そして、その調査を行うため暴走族に潜入するためには、パシリが一番彼らになじめる方法と思ったことと、自分にそれがあっていたということらしいです。
22歳から20年間もの長い間、暴走族を追い続けまとめた本は異例の大ヒットとなっています。
広島の暴走族への潜入
広島での大学院性のときに暴走族への潜入を試みますが、年が違うというのと大学院生ということで相手にしてもらえなかったそうです。
でも、中学生時代いじめられるのを回避するためにパシリをやっていた経験から、パシリに徹することで徐々に打ち解けることができるように。
広島でのエピソード 牛丼
あるときリーダーに50円玉1枚で牛丼を買って帰るようにいわれたそう。
あとで払うからと言われ買いにいくも、追加で100円しかもらえなかった。
打越「1個50円になってるじゃないですか!」
リーダー「打越、大人なのにお金にうるさいなー!」
引用元:文春オンライン
と、普段はパシリ扱いなのにお金になると大人扱いされたそうです。
広島でのエピソード おにぎり
パシリとしての役目をまっとうしようと気負っていた打越さん。
おにぎりを買っていく場面で、少し高い鮭と昆布を買っていったそう。
そうすると、
「なんでツナでないのか!」
「ツナを人数分買ってくるのが常識だ!」
引用元:文春オンライン
と叱り飛ばされたそうです。
このチームでは、おにぎりはツナと決まっていたそうなんです。
深夜に暴走する少年に、非常識だとしかられたそうです。
広島でのエピソード 出入り禁止に
あるときリーダーが補導されそうだと聞き、時間を割いて話を聞かせてもらったそう。
しかしこれが時期リーダー候補の後輩グループを刺激したようなんです。
そしてビルの裏に呼び出され、
後輩グループ「おまえちょうしにのっとんか!二度と来るな!リーダーにばっかり話聞いて俺らには聞かんのか?」
打越「リーダーが捕まるかもしれないってきいたから。」
後輩グループ「黙れ!今まで録ったテープも使うなよ。使ったら許さんけえの!」
引用元:文春オンライン
後輩グループのやきもちみたいなものなのか・・・
このことで打越さんは出入り禁止になったとか。
広島でのエピソード 後輩からの電話で復帰
しかし、後日その後輩から電話があり、
後輩「おい!打越、おまえいまどこなぁ?」
打越「市内ですけど」
後輩「おおー、よかった。おまえ、花買ってきてくれんか?」
打越「おお、どしたん?」
後輩「今日、先輩の引退式やのに、花買うの忘れて困っとるんよ。」
打越「でも、おれ出入り禁止なのに大丈夫?」
後輩「ええわい!そんなこともう忘れたわ。」
打越「おっ、マジで?なら来週からまた通ってええ?」
後輩「ええ、ええ、好きにせえ。花買って来いよ。」
引用元:文春オンライン
これで、打越さんの出入り禁止はとけ、再びこの暴走族での行動が始まることとなります。
その後、2007年からは沖縄へ向かいます。
沖縄の暴走族への潜入
沖縄での暴走族への潜入はなかなか簡単にはいかなかったようです。
少年たちがやはり打越さんが大学院生ということで、彼らの周りにはいない怪しい学生ということと、いろいろ話を聞くので私服警官ではないかと警戒されていたそう。
打越さんはみんなに覚えてもらえるように、毎日同じジャンパーを着て取材に向かっていたんだそう。
画像:KODANSHA
沖縄でのエピソード 職務質問
少年たちに怪しまれていた打越さんですが、怪しんでいたのは少年たちだけではなく警察からも怪しまれて取材期間中には10回以上も職務質問されたそう。
上記画像にある原付バイクに貼られたステッカーは少年たちにもらったもので、それを貼ってからは走っていても止められたそうです。
そして、顔を覚えていたのは少年たちではなく警察のほうだった。
警官「あなた、いつもいるよねえ。免許みせてくれるかなあ」
打越「まずは警察手帳を見せるのが先じゃないですか。」
警官「(しぶしぶ、みせる)いいですか。」
打越「メモるから待ってよ。〇〇署の○○さんね。」
警官「免許見せて。」
打越「(相手に渡さずに、手で持って見せて)はい。」
警官「ちょっと貸してくれる?」
打越「貸すのはできないんじゃない?ちゃんと手続き通りにすすめないとまずいよ。」
警官「はい、ご協力いただきありがとうございました。」
引用元:KODANSHA
少年たちにとっては、この光景が面白かったようなんです。
私服警官ではと打越さんのことを疑っていたからなんですね。
私服警官に警官が職務質問をしていると。
沖縄でのエピソード 調子に乗りすぎた
職務質問をたびたびされることに少年たちも、警察がこんな手の込んだことはしないだろうと疑いが晴れていったそう。
そこで打越さんは、これは打ち解けるいいチャンスだと思い職務質問をする警官に積極的に絡むことにしたそうなんです。
警官とやりあう姿を少年たちに見てもらうことで関係を築きたかったそうですが、あるとき性格の悪い警官に当たってしまいます。
いつものように免許証の提示に対して、
打越「免許提示は警察手帳を見せてからだ」
警官「そんなこと言ってたら、(警察に)連れていくよ」
打越「おかしいだろ!」
引用元:KODANSHA
調子に乗ってしまった打越さんは、わけもわからず連行されそうになった。
そこに、以前取材したことのある少年が、「打越、なにモメてんだ?」と声をかけてくれたそう。
打越「こいつ(若い警官)が取調室に連れていくとか言うから、そんなことはできないはずだって言ってもめてるんですよ。何とかなんないですかね」
少年「おまえ酒でも飲んでんのか」
打越「酒も飲んでないし、免許も持ってますし、スピード違反もしてないっすよ」
少年「だったらいいじゃないか、見せて終われ」
少年が警察に「こいつ、打越っていって変なないちゃーだけど悪い奴じゃないから」
引用元:KODANSHA
と、少年に助けられその場は免許を提示しその場は収まったそうです。
打越さんの本気度はハンパじゃないですね。
研究のためにここまでするのか?
と思わせるほど堀越さんの情熱は凄いものだと感じました。
簡単には抜けられない現実
堀越さんは、こういった潜入により自身の社会学的な調査をすすめます。
その中でわかった上下関係。
これは、中学校を卒業してから先輩後輩のつながりで仕事するようになり、プライベートでも後輩が先輩のパシリをする。
建設業界では30代を過ぎてもこの状態が続くそうです。
その背景には何があるのか。
沖縄の最低賃金が安いこと。
沖縄の建設業が三次下請けで安定しないことが関係しているそうなんです。
打越さんは、取材中には型枠解体業にも潜入し少年たちと一緒に働いていたそうです。
そこでは、キャリアアップが難しく、すぐに仕事も給料も若手にすぐに追いつかれてしまう現状だそう。
キャバクラでも若い子のほうが女性にもてるようになり、先輩としては年齢でしか先輩であることの威厳を示せなくなる。
そのため、暴力などで先輩後輩の関係を確固としたものにしようとするそうです。
なぜ、こういったところを若者は抜け出そうとしないのか。
その理由が、
「彼らは家族の中で居場所がなくて、父ちゃんや母ちゃんがいなかったとか、じいちゃんや親戚に殴られながら育てられた子が多い。学校に行ってもなじめないし、隣近所との関係もあってないようなものなので、十代の頃に行く場所はほぼなかったんです。そういう何もないところからつくった場所が彼らの地元なんです。4、5年かけて仕事や先輩のあしらい方を覚えて殴られないようになる。しんどいけど、そうやって自分で時間をかけてやっと辿り着いた場所を、そう簡単にはぬけられないなって思ったんです」
引用元:KODANSHA
こうやって打越さんの調査はこの先も続けていくそうです。
調査はだいぶ過酷だったのではと思いますが、パシリとして調査するより論文にする方が難しかったといいます。
読んだ後に少年らと読者の距離がちぢまるものを書きたかったそうです。
打越さんの取材での心構えは、
「常識を疑え!」
「先入観を持つな!」
ということです。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。

