知床遊覧船が沈没した「KAZUⅠ(カズワン)」の調査・引き揚げが近々始まるようです。
現在「KAZU Ⅰ」は深海120mの深い海の中にあるようで、実際どうやって120mもの深さの船の調査や引き揚げができるのか不思議でした。
そこで国が契約したのが民間のサルベージ会社。
そして契約した、「日本サルヴェージ」という会社はどんな会社なのか興味ありませんか?
過去の海難救助事例がとんでもなく凄いものでしたので、お伝えしたいと思います。

知床遊覧船の引き揚げって本当にできるの?

今回の知床遊覧船沈没。
引き揚げにかかる費用は8億7700万円ということですが、この金額には船の引き揚げ作業は含まれていないそうです。
成功報酬なのか、そのあたりは公表されていないのでわかりませんがわかり次第追記していきます。
そして、海底120mもの深い海での作業なんてできるのか?と疑問に思いますよね。
餅屋は餅屋といいますか、やはりエキスパートという方々がいるようです。
今回の遊覧船引き揚げは入札で、決まった業者は「日本サルベージ」という会社。
調べてみると、過去の海難救助事例は想像を超えるような救助をされています。
日本サルベージってどんな会社?
日本サルベージという会社、正式には「日本サルヴヱージ株式会社」と言います。
主に海難救助・海底ケーブル工事・その他海洋調査.etcをされているそうで、海でおこった様々な事故や工事などのエキスパートなんですね。

画像:日本サルヴェージ
日本サルベージの会社概要
商号 | 日本サルヴヱージ株式会社 |
所在地 | 東京都大田区大森北一丁目5番1号(JRE大森駅東口ビル8階) |
設立 | 昭和9年9月21日 |
資本金 | 6億4千万円 |
・主な作業内容
- 海難船舶及び海難積荷の救助
- 船舶及びその他浮揚物の曳航
- 船舶・鋼構造物の撤去
- 海難船舶等からの燃料油および有害危険物質等の回収
- 海洋汚染防除及びその関連事業
- 船舶の売買及び貸渡
- 海事に関する検査及び鑑定
- 船舶の解撤ならびに解撤材の加工及び販売
- 海洋・水中工事の請負、施工ならびにこれに関するエンジニアリング(機材の調達、管理等)及びコンサルタント業務
- 船舶、機器等による役務の提供
- 海洋に関する観測、調査
- 電気工事の請負、設計ならびに施行、管理及びコンサルタント業務
- 潜水機器及び要具類の設計、製造ならびに販売
- 船員の派遣事業
海でのことならなんでも来いという感じの頼もしい会社ですね。
作業事例も見てみましょう。
作業事例
火災船救助作業
画像:日本サルヴェージ
画像を見るだけで、もう沈むんじゃないかと思わせるのですが、こんな大きな事故でも船の救助をされるそうなんです。
これは2013年12月29日韓国釜山港の沖合での多船との衝突事故。
この船にはケミカル29,000tが積まれており火災も発生し、船体の側面部は大きく破損。
乗組員は全員無事退船できたようですが、破損した本船自体が漂流を始めたので座礁の危機を回避するため、本船を引き止め曳航(えいこう:船をひくこと)。
二週間後には泡消火剤を使用し火災の鎮火に成功。
引火性の高い貨物もあったため、韓国日本両政府との受入交渉には時間がかかったようですが、4か月後の2014年4月11日に韓国蔚山港(ウルサン)に入港。
4月18日に無事救助完了されたそうです。
傾斜船救助作業
画像:日本サルヴェージ
船が半分ぐらい沈んでお手上げ状態に感じるのですが、これを救助するって感覚がエキスパートなのでしょうね。
これは2010年1月半ばの浸水事故です。
台湾の高雄港の港外で錨泊(ひょうはく:いかりをおろして1か所にとまること)していた貨物船が浸水し、前方に大きく傾いてしまっていました。
すでに1番船艙(せんそう:上甲板の下にある貨物を積み込んでいるところ)が水没し沈没の危機が迫っている状況。
この人が立ってもいられない状況のなかで、昼夜問わず救助作業が行われたそうです。
まず、何からするのかがとっても興味がありますよね。
まずは、環境汚染を考え燃料油を抜き取る作業から始めたそうです。
その後、浸水の原因となったところの防水を行い、バラストタンク(海水を溜め、荷物を積んでいないときに安定性を確保するたに利用されるタンク)内の注排水や送気を行ったそうです。
同時に、積荷の瀬取りを行いながら本線を陸側に引き込む工程を繰り返し、約3週間後には本船の浮上に成功させたというのですから驚きです。
破損した部分の防水ということは、今にも沈没しそうな船の中での作業ですよね。
考えただけでも怖い…です。
命知らずというか、勇敢な方たちで尊敬に値すると思います。
座礁船救助作業
画像:日本サルヴェージ
どうやったらこうなるのかと思うような状況ですね。
これは、2009年3月に起きた座礁事故。
この画像を見てわかるように、広大な干潟で砂地が広がっています。
なので、救助船が近寄れないという状況だったようです。
このまま置いといたら?
ってなってしまいそうですが、プロは違います。
ロープで引っ張ったそうなんですよ。
どう引っ張ったかは、資料がないのでお見せできませんが、全長3キロに及び曳航索(えいこう:船を引くための強度のある引き綱)を張り、引っ張ったそうです。
あの、砂地の上にある巨大な貨物船を引っ張るとは。
まとめ
今回は知床遊覧船の引き揚げ作業を契約した「日本サルベージ」という会社についてご紹介しました。
いかがだったでしょうか。
海での船の事故に、果敢に挑むエキスパートって、かっこいいヒーローだと思いましたね。
想像を絶する作業に感服です。
今回の知床での作業も無事作業完了されることを祈ります。
ありがとうございました。
