知床観光船の沈没事故での船の引き揚げに、日本サルベージという会社が契約されたことはニュースでも言われているのでご承知だと思います。
知床観光船は120mの深さのところにあるので、潜ることなんてできるのかな?とおもいませんか?
その引き揚げ作業には、飽和潜水という聞きなれない方法が耳に入ってきました。
その方法なら、ひとも100mは十分潜って作業ができるそうです。
潜る潜水士のかたは、大変な作業だと思いますが気になるのはその収入。
興味がわくのは私だけでしょうか。
今回は、飽和潜水という技術と、その飽和潜水士の年収などを調査してみましたのでご覧ください。
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飽和潜水とは?

飽和潜水とは、なかなか聞きなれない言葉ですね。
深海では、水圧による体にかかる負担は相当なものということはみなさんご存じだと思います。
水圧は10m潜ると1気圧かかります。
1気圧とは1㎝2あたり約1キロの圧力。
これは爪先に1キロの重みがかかるというイメージです。
なので100mなら10気圧で爪先に10キロの重みがかかる感じで、体中にかかる圧力は相当なものです。
飽和潜水とは超深海での圧力に体を慣れさせ、安全に作業ができる状態にする技術になります。
最大で700m以上潜ることが可能になっているそうです。
飽和潜水は体を水圧に体を慣れさせることが目的
体にかかる圧力も相当なものですが、深く潜ると供給される酸素ガスなどの圧力によって減圧症という危険が待っています。
潜水した人が急速に大気圧の場所に出たときに起こる潜函病(減圧症)を防ぐため、あらかじめ体内にヘリウムなどの不活性ガスを飽和状態になるまで吸収させることで、水深100メートル以深でも安全に潜水できるようにする手法。
引用元:コトバンク
スキューバーダイビングで深くもっぐった祭、水面へ浮上する途中で減圧しなければなりません。
理由は、圧縮されたガスを吸うと、ガスが徐々に体の組織に溶け込んでいくからです。
浮上速度をあやまって早くしたり、体調に不備があったときには、余分のガスが気泡として体の中にあらわれることになり、塞栓など、一般に減圧症として知られる症状が出るそうです。
体の中で余分なガスが気泡となり、血駅に気泡が混ざったり、血管をふさぎ流れる血液を止めてしまうといった大変な状態にもなるそうです。
水圧でつぶれるのは気体!
空気が入って密閉された状態で、水圧がかかるペットボトルや風船は潰されていきます。
ですが、水の入ったものは潰されない。
ということは、人間の体は水分が多いので潰されないということです。
でも、肺には空気がありますよね。
なので、危険なのは肺がつぶれるということです。
空気で潜れる限界は40mだそうです。
それより深く潜るには、
窒素濃度を調整した窒素と酸素の混合ガス(ナイトロックス)やヘリウムと酸素の混合ガス(ヘリオックス)、窒素と酸素とヘリウムの混合ガス(トライミックス)を使用する必要があります。
引用元:シズカ@飽和潜水アドバイザー
地上にある空気では安全に深海で作業することは不可能なんですね。
そうならないために、潜水士はベルというタンクに入り、地上の母船で酸素などガスの圧力の調整などで高圧条件に体を慣らしていくのです。
ベルは過酷
潜水士はこの画像のようなベルというタンクに入り、深海へと潜っていき作業をします。
画像:読売新聞オンライン
調べてみると、作業は大変だということは想像できます。
ですが先ほども述べましたが、ガスの圧力の関係で潜るときより浮上するときが大変なようです。
100mの深海で作業した場合、浮上するのに5日間もの日数を要するというのです。
潜水士にとってはこの時間が相当精神的に苦痛になるようです。
人数の多い場合にはもっと大きなベルもあるようす。
作業も3週間という長い期間複数のダイバーが狭い空間で共同生活をするようになります。
画像: Photographer’s Mate 1st Class (AW) Shane T. McCoy
シャワーやトイレも完備されているようですが、すべて監視カメラによって見られているのでプライバシーは無い状態だそうです。
短気な人やチームワークが苦手な人には、到底この作業には向かないようです。
これだけ、身体的にも大変な作業に加え精神的にも大変な飽和潜水士ですが、その見返りといいますか収入的にはどうなのでしょう。
飽和潜水士の年収とは?高給取りなのか?
飽和潜水士という特殊なお仕事ですが、その収入はどれくらいなのか調べてみました。

日本サルヴェージ株式会社の年収とは?
日本サルヴェージ株式会社の給与を参考にしました。
この、公表されている給与は潜水士を含むすべての職種に当てはまるようです。
2022年5月10日まで下記のように公表されていました。
- 25 才:470 万円
- 30 才:630 万円
- 35 才:730 万円
なのですが、2022年5月12日時点ではこの金額の公表は消えてしまいました。
ですが、急に変わることは無いと思いますが今公表されているのは次の通りです。
月給18万円~22万円+諸手当(精勤・乗務・家族・欠員・冬期北洋就航・時間外など)+賞与年2回(平成29年度実績5.5カ月)
年収例
- 500万円(30歳)
- 435万円(28歳)
- 350万円(20歳)
いかがですか?
思ったより少ないと感じますね。
ですが、経験や年齢、能力によって優遇はあるようですし、各種手当もとても多いようです。
上記金額はあくまで例ということで公表されているものです。
潜る深さによって変わる収入

これは海上自衛隊の飽和潜水士の例ですが、もし400m以上の作業すると、
なんと時給1万円超!!
それも、食事中や睡眠中トイレ中であっても時給は発生されるんですね。
3週間潜ったとしたら、
21日×24時間×10000円=5,040,000円
これには驚きです。
日本サルヴェージ株式会社でも、公表はされていませんがそれだけの収入はあるのかもしれませんね。
まとめ
今回は、飽和潜水士の収入に関して調べてみましたがいかがですか?
危険で過酷な作業にはそれなりの報酬もついてくるというのは当然といえば当然ですよね。
知床での観光船の引き揚げには、安全で無事作業完了されることを祈ります。
ありがとうございました。
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