第166回芥川賞に砂川文次さんの「ブラックボックス」が見事に選ばれましたね。
砂川文次さんは過去にも3度の芥川賞候補にあがっており、今回が4度目の候補からの芥川賞受賞で一流小説家として仲間入り。
これからも楽しませてくれる、読者がのめりこんでしまうような作品を執筆してくれるのが楽しみですね。
【芥川賞】砂川文次「ブラックボックス」は傑作!
芥川賞とは?
芥川賞とは、大正時代の小説家「芥川龍之介」の功績をたたえて1935年に創設されたもので、作品としては新人作家による発表済みの短編・中編作品が対象となり、選考委員の合議によって受賞作が決定されるます。
最近では又吉直樹さんがこの芥川賞を受賞したことで注目が集まりましたね!
受賞者には、正賞として懐中時計、副賞として100万円が授与されるそうです。
砂川文次さんとは?

プロフィール
- 名前:砂川文次(すながわぶんじ)
- 生年月日:1990年4月1日
- 出身:大阪府吹田市
経歴
砂川文次さんは、現在都内の区役所に勤務する公務員をされているそうです。
そして元自衛官であり、陸上自衛隊操縦学生であった時に書き上げた投稿作「市街戦」で、2016年の第121回文學界新人賞を受賞しデビューします。
その後「戦場のレビヤタン」が第160回(2018年下半期)芥川賞候補作、「小隊」が第164回(2020年下半期)芥川賞候補作となり今回見事に「ブラックボックス」で第166回(2022年上半期)芥川賞受賞となりました。
そんな砂川文次さんの「ブラックボックス」はどんな小説なのでしょうか。
ブラックボックスは傑作!
ずっと遠くに行きたかった。
今も行きたいと思っている。自分の中の怒りの暴発を、なぜ止められないのだろう。
自衛隊を辞め、いまは自転車便メッセンジャーの仕事に就いているサクマは、都内を今日もひた走る。昼間走る街並みやそこかしこにあるであろう倉庫やオフィス、夜の生活の営み、どれもこれもが明け透けに見えているようで見えない。張りぼての向こう側に広がっているかもしれない実相に触れることはできない。
気鋭の実力派作家、新境地の傑作。
引用:Amazon
このお話は、メッセンジャーという自転車配送の仕事をしている主人公が仕事・家庭・義務などから目を背け続ける主人公の不器用で生きるのが下手な人間模様。
普通でありたいのに、普通ではいられない男の心の呟きがどこか寂しく感じるが共感できるおもしろい作品です。
砂川文次さんの人間味を感じるような気がしますね。
才能あふれる作品の数々
それでは砂川文次さんの作品をご紹介します。
「戦場のレビヤタン」

風が吹いている。おれは、その風を肌でしっかりと感じながら、
レンジローバーの後部座席で揺られている。英国系の石油プラントを守るため、イラクの紛争地帯に進んで身を投じた武装警備員のKは、キルクークからアルビルへ伸びる国道を北上していた。
荒涼とした紛争地。戦火はおさまったかに見える地で、わき上がる問いに答えは出ない。
なぜこの地にやってきたのか、戦争とは何か、何が戦争を作り出すのか。敵は誰なのか。大義なき戦争、警察国家が撤退した後の世界の風景を淡々と乾いた筆致で描き出す21世紀の戦争文学。
引用:Amazon
「バベルの褒賞」
区役所の行政文書課で働くKは、いつも利用している駅の名前が「乙駅」から「甲駅」に変わっていることに気が付く。
「甲駅」とは、彼が乗り込んだ駅名であり、そこから電車を十数分揺られてきて、降りた駅の様子はいつもの「乙駅」なのに、看板の駅名表示は「甲駅」なのだ。
妙な違和感は、その後も続く。
区役所に着き、午前中の仕事をして昼休憩に外出しようとしたKは、窓口職員ともめている男を見かける。タイミング悪く、この男と共に役所の建物を出ることになり、Kは男に話しかけられる。
元はKと同じ役人だったという男は、奇妙な話をした。
男は、Sという名前だったのに、異動になった先に登庁してみると、自分はAということになってしまったというのだ。
「臆病な都市」

新型コロナ感染拡大の前に書かれた、新鋭による問題作。
鳥の不審死から始まった新型感染症流行の噂。
その渦中に首都庁に勤めるKは巻き込まれていく……。
組織の論理と不条理、怖れと善意の暴走を生々しく描く傑作。
「小隊」

元自衛官の新鋭作家が、日本人のいまだ知らない「戦場」のリアルを描き切った衝撃作。
北海道にロシア軍が上陸、日本は第二次大戦後初の「地上戦」を経験することになった。自衛隊の3尉・安達は、自らの小隊を率い、静かに忍び寄ってくるロシア軍と対峙する。そして、ついに戦端が開かれた――。引用:Amazon
まとめ
今回、芥川賞を受賞した砂川文次さん。
普段は公務員という立場から公の場にでないようです。
会見では「嫌だなと思ってます。職業上の理由でした」と本心を話されていますが、普通の方なら出たくないでしょうね。
ですが今回の受賞で一躍有名人になったことで小説家としてのお仕事を重視されるのか、公務員をまっとうするのか気になるところです。
これからも感性豊かな作品を書かれることを願っています。
砂川文次さんおめでとうございます!